映画「築城せよ!」 掘り出し物作品

映画「築城せよ!」を観ました。
愛知大学50周年記念で作られた映画で、結構、豪華キャストです。

正直あまり期待していませんでしたが、思ったよりもよかったです。
私的、今年のベスト3に入るであろう作品となりました。

この古波津陽監督は34歳で、長編映画は今回初めてのようです。

この映画の大きな欠点は、プロモーションに難があること。
ダンボールで城をつくる
この部分ばかり強調し、ストーリーについてはあまり触れられていません。
そしてタイトルもシンプルすぎます。

しかも、最近の戦国ブームに対し、名もない戦国武将の話に過ぎません。
そのため、内容も伝わりにくく、観るきっかけにならないです。

またキャスティングも、劇場に足を運ばせるような配役になっていません。

内容ですが、映画がはじまって、タイトルがスクリーンに映し出されるまでのつかみはOK。

ただし、ここからちょっと不安になります。
映像に手ブレがあり、また映画監督としての粗さが感じられます。
しかし、大きく外している訳ではないです。

最初の見所は、馬に乗った甲冑の侍らが商店街を移動し、役所内を馬で闊歩するところ。
このシュールさが、映画内容から推測されるとはいえ、たまりません。

そして、これこそが映画の魅力であり、監督も自覚しているのがうれしいです。
このシーンから面白くなってきます。

ダンボールで作られた城ができたところは圧巻です。
また、その壁があっさり壊れてしまうところのシュールさがいいです。

城がほぼ完成し作業をしている人々が雑魚寝をしているシーンで、恩大寺隼人将のセリフ「まるで合戦の前夜のようだな」に対し、ナツキの「まるで文化祭の前日みたい」のセリフも、シュールでいいです。

最後の演出がちと作りすぎる嫌いはありますが、かなり楽しめました。
内容が違うとはいえ「鴨川ホルモー」を観た感想に近いです。

欲を言えば、個々の周辺設定部分が、あまり活かされていなかったりするのが残念です。
宴に招待するという部分や祝言や○○○祭りなど、せっかく用意したものがいつの間にか流れてしまっています。

ストーリー:
愛知県の田舎町の猿投町では、とある場所の扱いにもめていた。
幻の城:猿投城を復元し観光で村おこしを考える教授と、ペットボトル工場を誘致し村民の生活レベルの向上をはかる町役場とで。
そんなさなか、城の復元工事を行っている中で3人が古井戸の中に落ちてしまう。
生死の心配のされる中で、その3人は、しばらくして甲冑を着て現れた。
昔、城の築城中に謀反により死を遂げた地元の戦国武将 恩大寺隼人将 の成仏できない魂が憑依したのだ。そして、築城を命ずる。
材料も時間もない中で考え出された方法は、ダンボールで城を作ることであった。
建築学科の学生のナツキは、設計をまかされることになる。
はじめは、乗り気でなかった復元工事の人員や町民たちも、やがて心を動かされ城作りに協力するようになる。
ところがそれが面白くない町長は、ある計略を思いつく…。

邦画「築城せよ!」 2009年

評価:★★★★★
監督・脚本:古波津陽
配給:東京テアトル
主題歌:多和田えみ版「時の空」
出演:
石崎祐一/恩大寺隼人将:片岡愛之助
井原ナツキ:海老瀬はな
馬場虎兵衛:江守徹
井原勘助/勘鉄斎:阿藤快
佐々木律子:藤田朋子
岩手晴彦:津村鷹志
ゴン/権大夫:木津誠之
二本松和子:ふせえり
町民・中村:片岡功
大工・村野:小野進也
酒屋・森田:杉本明朗
春日拓司:安宅忍
春日時枝:星光子
愛知工業大学・職員:団長(安田大サーカス)
カラオケスナック秀実ママ:佐々木秀実
コスプレ侍団長:アメリカザリガニ

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